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霧神島(1)
その島には古くから続く因習があった。
その昔、島に謎の瘴気が発生し、
島民は病に冒され多数の死者が出たという。島の宮司は島民に忘れられた
山に住まう霧の神の怒りだと言った。島民が宮司に従い、島の娘を一人選び
神の生贄に捧げると瘴気はぴたりと止んだ。島民は宮司に感謝し、言いつけ通り
五年に一度生贄を捧げる儀式を続けた。また、神を畏れ敬いその存在を忘れないため
その島は「霧神島」と名付けられた。現在も「神納の儀」と呼ばれる生贄の儀式は
島民にとっては当然のこととして執り行われている。しかしその儀式は神聖なものとされ、
殆どの島民は儀式の内容を知らされていない―――配信ストア