千夏調教日記

大手企業といわれる総合商社、クレシータ。
 成長という名にふさわしく、躍進を続けるこの会社には秘密の部署がある。
   総務部・福利厚生二課。
 通称、男たちの楽園と呼ばれているその部署は、楽園の名にふさわしく、今日もクレシータの男性社員をもてなしていることだろう。

 『福利厚生男性用チケット  ・二回目以降の利用について。  ・二回目以降の利用はウェブサイトから予約がおすすめです。  ・以下のQRコードを読み取りし、社員番号を入力。  ・予約一覧より予約後、福利厚生二課までお越しください。』
 毎月、給料明細と共にランダムに配布されるA4サイズ紙。一見何の変哲もないただの紙切れに見えるこれを、クレシータに勤めるほとんどの男性社員が心待ちにしている。
 皆がこの紙を一枚でも多く手に入れようと、日々切磋琢磨し、この紙を奪い合うように努力する。
 その結果がクレシータの成長に繋がっているのだ。
 {沢村|さわむら}{樹|いつき}。二十四歳。  新卒採用でクレシータに入社してから約二年。福利厚生二課の存在を知って以降、沢村の中でチケットの存在は、己のバランスをとる非常に重要なアイテムとなっていた。
 理想的な彼女がいて、女にも困っていない。けれど、沢村は特殊な性癖の持ち主なのである。
 嗜虐欲。
 女性に対して、大切にしなければならないということは理解しているが、苦しみや痛み、恥辱に歪む顔を見ると、得も言われぬ高揚を感じる。そういう性癖の人間。つまり沢村はサディストなのだ。

 総務部・福利厚生二課シリーズ第四巻!
 今回はサディストな男性社員のお話です。



※本作は長門秀虎の個人誌作品の電子書籍版となります。
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