乳と蜜の流れるところ

――「彼」が縄を握ったのは、「彼女」を守るためだった。 過去に独占欲で傷つけた恋人、いま隣にいる恋人。 その狭間で揺れながら、痛みの先に再生を見出していく姿を、繊細かつ濃密に描き出す。 愛を問い続けた男の物語にして“大人のためのロマンス”シリーズ最終作。 かつての恋人・ルイを、自身の独占欲から深く傷つけたことを悔い、 恋愛も縄も、向き合うことを避けて生きてきた緊縛師・渡海(とかい)。 だが、ドイツでの仕事中、受け手としてステージに立つルイの姿を目にしたことで、 長く抑え込んできた感情が疼き出す。 そこへ現れた――“女王”の微笑を湛える謎の日本人女性の“挑発”が、 渡海を過去と向き合わせる。 縄を教えてくれた恩師にして、癒えない傷を残した仲秋。 緊縛を知り尽くした女王様とその夫。 痛みの先に希望を見出し、異なる「縛り」を生きる緊縛師たちとの出会い。 そして一緒に暮らす恋人・歩との関係も少しずつ変化していく。 縄に触れるたびに、愛とは、支配とは、許しとは何かを突きつけられながら、 渡海は「緊縛師として生きる覚悟」と「愛する人との未来」を自らに問い続ける。 ――もう戻れない、けれど、まだ終わっていない。 性愛と信頼、痛みとやさしさ、 そして、贖罪と再生。 過去と現在が交錯するなか、 “縄”をたぐり寄せた末に、渡海が見つけたものとは――。 痛みの向こうに見つけた愛と成長を描く、 耽美で濃密な大人のラブストーリー、ついに完結。 ※本作には、ストーリー上不可欠な性愛描写およびソフトなSM・緊縛描写が含まれます。 【レビュー(WEB公開時】 ■渡海の気持ちを込められない葛藤が繊細に描かれて、自分にも当てはまるし、目標への習得の参考になりました。(40代・女性) ■SMという一見普通には公にしにくいことですが、お話全体を通してそれも1つの愛の形、愛情を示す手段でお互いを信頼・愛し合ってるんだなと思って心が温かくなりました。(30代・女性)
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