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愚者に華燭と弔鐘を
寒川須弥はどこにでもいるただの高校生だ。 ただ、血の繋がらない同じ歳の兄・塁がいることが普通とは少し違っている。
近所に住む実の兄のように慕っている七生は、夜の街で風俗店を営んでいて、少し怖くてそれから優しい。
塁が死んだ日、須弥は一通の真っ赤な封筒を拾った。
兄と須弥の写真が貼り付けられた便せんを、須弥は兄とともに燃やす。
それは、死者と婚姻を結ぶためのまじない。 須弥は死んだ兄に嫁がされる。
「さぁ、初夜を始めようか――」
死んだはずの兄との交接。
それから、怖くて優しい七生の執着。
愛情も恋愛も、そんな甘いものなどそこにはなかった。
依存、執着、羨望、嫉妬、それから憎悪・・・。
不幸は不幸を呼び込んで、ただの高校生だったはずの須弥は、七生たちの争いにも巻き込まれ、生死の際で苦しむ。
善人なんかどこにもいない。 いるのは、ひたすらに自分勝手なクズたちだけ・・・。
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