金魚の屍骸は沼の底(3)

私には双子の弟がいた。名前は澄透(すみゆき)
スマートでとっても優しくて、格好良くて何でもできる完璧な弟。
一方私は、体も弱くてどんくさくて働くことすらできない。
幼い頃からずーっと弟に頼りっぱなし。

私……澄透の人生を奪ってる気がする。
昔からなんでも澄透にやってもらっていた
今だって生活の全てを澄透にやってもらっている。

だから、弟離れをして自立しようと思ったそれなのに――

「どうして、依存してくれないの?」

弟は、私を"姉"としてではなく"女"として愛し自分に依存させるように仕向けていた。
双子の弟の歪んだ愛が私を沼の底に引きずり込んで溺れさせていく――


※本作は閏あくあ、蓮井子鹿の個人誌作品の電子書籍版となります。【26ページ】
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